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学術研修会に行ってきました!(2008.03.26)

  
 私たち理学療法士は毎日の業務だけでなく、研修会などに参加し日々進歩する
治療法を学んでいます。
 
 私も昨年の学術研修会に参加し、そのなかの話の1つに、排尿障害に
対するリハビリテーションについての講義がありました。
整形外科と排尿障害では全く違う分野の話のようですが、排尿障害に対する
リハビリは腰痛に悩む患者様にも効果があるという話をその講義で聴くこと
ができました。
 
 私たちのクリニックでも腰痛に悩む患者様は多く、今回は排尿障害と
腰痛の治療について少し紹介させていただきたいと思います。
 
まず、排尿障害とは尿漏れ、尿失禁、頻尿などのことで、原因はさまざまで、
排尿器の構造の違いから男女によっても異なります。
その排尿障害のなかに、腹圧性尿失禁というものがあります。
この腹圧性尿失禁は、咳きやくしゃみ、笑ったときなど、咄嗟にお腹に力が
入ったときに起き、特に40〜50歳代の女性の方で多くなっていると
言われています。腹圧性尿失禁の原因のひとつとして、「骨盤底筋群」と
いわれる筋肉の緩みが考えられています。
 
 皆さんは「骨盤底筋群」という言葉を聞いたことはありますか?
骨盤底筋群とは、読んで字の如く、骨盤の底の部分にハンモック状に
張った筋肉のことで、膀胱や尿道、直腸などの骨盤内にある臓器を
支える役割をしています。
 
 最近の研究で、この骨盤底筋群は、腹筋や背筋と一緒に働いて
体幹(たいかん)と呼ばれる部分(腕・足・首・頭以外の胴体の部分)の
安定性を高める役割もしていることがわかってきました。
 
 次に腰痛についてですが、これは男女問わず多くの方々が経験したこと
があるのではないかと思います。私たちのクリニックでも、腰痛に悩む
患者様は非常に多く、腰痛により生活に支障をきたすケースも稀では
ありません。腰痛に悩む患者様では前に述べた体幹という部分の安定性が
低下し、その結果、腰に負担がかかりすぎてしまい痛みを引き起こして
いることがあります。以上のことから、体幹の安定性を高めることは
腰痛を取り除くために大切な要素となります。骨盤底筋群は体幹の一番
底の部分であり、ここをエクササイズすることで体幹に安定性が得られます。
  
それではここで、骨盤底筋群のエクササイズをいくつかご紹介しましょう。
 
 比較的簡単なものとして
  @ 肛門をしめるようにする。
  A排尿中に尿の流れ
 を止めるようにする。というような方法があります。
 
 自分で骨盤底筋群の活動を確認する方法としては、仰向けで寝た状態で
膝を曲げ、尾骨(おしりの割れ目の上のほうにある骨)をさわり、
肛門をしめるようにすると、尾骨は天井のほうに向かって動くので、
尾骨が触れている指から離れていくのを感じます。
 
 エクササイズの注意点としては、強く肛門をしめつけ過ぎて太ももに
力が入ってしまうと、別の筋肉を働かせていることになり効果がなく
なってしまいます。また、尿を止めるのを習慣化してしまうと尿の出が
悪くなることがあると言われているので、力の入れ方の感覚を確認する
方法として時々行なう程度が適切であるとされています。
このようなエクササイズを継続して行なうことで、体幹の安定性が
増し腰痛にも効果があると言われています。
 
 しかし、腰痛の原因は様々で、筋肉や関節の固さによっても痛みを
引き起こすことがあります。また、ぎっくり腰のように、筋肉や
脊椎の一部の関節の損傷が原因の場合もあります。骨盤底筋群の
エクササイズは体幹を安定させるためには有効であると考えますが、
腰痛の原因が体幹の不安定性ではない場合では、必ずしも腰痛が
軽減するとは限りません。私たちのクリニックでは腰痛に限らず、
患者様の訴える痛みの原因を明らかにしてひとりひとりに合わせた
リハビリを行なっています。たとえば筋肉や関節の固さにより痛みを
出している場合はマッサージやストレッチを行い、痛みの軽減を
目指します。
 
 今回の研修会は、痛みだけではなく患者様が困っている様々な
問題に対し、様々な観点からのアプローチ方法を知ることができ、
刺激的なものでした。なかでも排尿障害に対するアプローチが
腰痛にも効果があるという根拠が、人の身体の構造や機能に
裏づけされたものであり、大変関心が持てました。
 また、様々なアプローチの方法を学んだことで、個々の問題点に
対し、より適切なアプローチを行なうための選択肢を得ること
ができました。
 
 今後も研修会などで得た知識や技術を生かし、
より多くの患者様の痛みを軽減できるよう努めていきたいと思います。
 
   理学療法士 岸本 圭
 
 
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