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世界水泳ローマ大会に帯同して(2009.07)

 世界水泳は2年に1度開かれます。今年の世界水泳はローマで行われました。
昨年の北京オリンピックが終わり、引退した選手も多く、新生日本と呼ばれる
選手たちのロンドンへ向けての一番最初の大きな国際大会となります。
7月19日から25日までシンクロナイズドスイミング、翌26日から8月2日まで
競泳が行われました。今回は7月13日に日本を発ち25日までシンクロに帯同し、
26日から競泳に帯同するというスケジュールでした。
 
 毎回出発の数週間前にフライトの日程が送られてきます。
今回もいつもと変わらず、日程表が届き中を開くと往復のフライト予定が書いて
ある紙が入っていました。いつも選手、コーチたちと一緒に現地まで行きます。
今回ももちろんそうだろうと思っていました。ところが出発の3日前に合宿の
行われている東京の某所へ行き、当日の話をなにげなくしていたところ、ひとり
だけ違う便であることが発覚しました。私の持っている紙には10時すぎ成田発で
パリ経由の便が書かれてあり、他のみんなは出発時間が2時間ぐらい遅く、しかも
直行便であるため早く着く便が書かれてありました。正直、驚きました。
そして急に少し不安になりました。何度も国際便に乗ってはいるのですが、ひとりで
海外の空港での乗り換えは経験したことがありません。しかも、パリの空港はわかり
づらいと聞いていました。そして、一番心配なのは預ける荷物です。
海外は日本のようにきちんとしていないことが多く、幾度となく目的地まで運ばれず、
後で届けられたという話を聞いたことがあります。けれども、一晩寝て起きたら、
考えていてもなるようにしかならないと感じ、もう考えるのをやめました。
 
 少々の不安のなか、パリ行の便に乗りました。フライト時間は約12時間。
今回は長い時間にもかかわらず、快適に過ごすことができました。
というのも、今回の航空会社の便は、後ろの方のブースに常に飲み物や軽食が置いて
あり、それらが食べ放題、飲み放題でした。ちょっとなにか飲みたいと思っても、
わざわざCAを呼ぶのも・・・と思ってしまうことがあるので、これはうれしいサービス
でした。パリに到着するとローマ行の便へ乗るために空港内を移動します。
聞いていたとおり建物がわかりづらい作りでしたが、迷うことなくローマ行の便に乗る
ことができました。心配していた荷物もローマの空港でちゃんと出てきました。
最後の難関は空港からホテルまでです。空港に大会関係者が待機していてホテルまで
車で連れて行ってもらう形になります。到着ロビーに出ると世界水泳のボードを持った
スタッフに会い、挨拶をし、車へ案内されました。国によって宿泊するホテルが違う
ため日本チームであることとホテル名を告げ車に乗り込みました。車は勢いよく発進
しました。ひとりでも大丈夫だった、あとはホテルに着くだけだとホッとしていたところ、
車が急に道の端に停まりました。そして運転手は地図を広げはじめたのです。
そして、おそらくイタリア語で話しかけてきました。英語で返しても話が通じないよう
でしたが、道に迷っているのはわかりました。「大丈夫か・・・?」と黙っていると
少したって、運転手はおもむろに車を発進させました。なんてことはなくホテルは
すぐ近くにありました。無事ホテルに到着したのは現地時間で夜の10時ごろでした。
 
 ローマでは天気が良く、滞在中雨に全く降られることはありませんでした。
日照時間も長いため、日中はかなり暑くなります。会場とホテルの道の途中の温度計は
いつも35度を超えていました。プールは屋根がなく炎天下の中であり、選手・スタッフ
とも暑さとの戦いにもなりました。
 
 今回のシンクロ日本代表選手は11名。全員がオリンピック未経験であり、平均年齢20歳
という若いチームです。北京オリンピックの時の選手は全員引退しています。
そんな若い選手たちがおそらく相当なプレッシャーの中、世界に挑みました。
結果は、ソロ、デュエット、チームすべてでメダルを逃す結果となりました。
採点競技であるシンクロは印象が大事らしく、メダルを獲れないことが後に響いてしまう
可能性があるらしいのです。つまり、メダルを獲り続けないと強い、巧い日本を印象付け
られず、今後の戦いが厳しいものになるらしいのです。だからこそ、今大会での順位が
重要であったと言われます。しかし、まだまだ若い選手たちです。これから多くの経験を
積み大きく伸びていく可能性があるはずです。大いに期待し、応援していただけたらと
思います。
 
 シンクロが終わった次の日から競泳が始まりました。今大会はものすごい数の世界記録が
生まれるという異例の大会となりました。水泳に興味のある方はもうすでにご存じかと
思いますが、来年1月から水着の規制が変わることが決まりました。簡単に言うと、今の高速
水着と言われているものは使用できなくなります。ですから、今年の記録は今後当分の間
破られることはないだろうと言われています。そんな中、日本は金メダル1つを含む、4つの
メダルを獲得しました。
  
 我々の仕事は,もちろん選手が試合に万全の状態で臨めるよう手助けすることです。
シンクロでも競泳でも求められること,選手の訴えに大きな差はありません。
少々違うのは、シンクロはチームで動き、競泳は比較的個人で動くことです。それは試合
状況が違うことから生じてくるものです。つまりシンクロは全員が一緒に動くので、試合や
練習のときには我々はプールサイドや観客席でなにかあってもすぐ対応できるように待機し、
ほとんどがホテルでの対応となります。競泳は種目ごとに出場選手が違い、当然時間も
順々になっていくので、我々は朝一から会場のどこかへベッドをひろげ待機します。
午前中に予選レースがあり、午後の決勝レースまでは時間があくため一度ホテルへ戻ります。
そしてまたレース前に会場へ行き、決勝レースへ出場する選手に対応します。
ですから、シンクロは競技を見ることができますが、競泳は選手対応いるところは
試合プールではなくサブプール近くであるため試合を見ることはできません。
近くに設置されているモニターで見ることになります。
 
 今大会中、古橋廣之進 日本水泳連盟名誉会長が現地ローマで急逝されました。
知らない方もいらっしゃると思います。古橋名誉会長は世界記録を計33回もマークするという
驚異的な記録を持ち、戦後の日本のスポーツ界に明るい話題を提供し、元気づけました。
そして,アメリカのマスコミは畏敬の念を込め「フジヤマのトビウオ」の愛称で、活躍を
たたえました.ローマへは国際水泳連盟副会長として滞在されていました。謹んでご冥福を
お祈り申し上げます。ちなみに今年から,新生競泳日本代表の愛称が「トビウオ ジャパン」と
命名されています。
 
 いつも長い期間休みをいただき申し訳ありません。
おかげさまで多くの国際大会に帯同する機会をいただいています。
今後またご迷惑をおかけすることがあると思いますがよろしくお願いいたします。
 
理学療法士  吉沢 剛
 
 
 
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